5種混合ワクチン(百日せき・ジフテリア・破傷風・ポリオ・ヒブ)の説明

百日せきの概要

百日せきは百日咳菌によって発⽣します。名前のとおり激しい咳をともなう病気で、1歳以下の乳児、とくに⽣後6か月以下の子どもでは亡くなってしまうこともあります。
主に気道の分泌物によってうつり、咳のために乳幼児では呼吸ができなくなるために全⾝が⻘紫色になってしまうこと(チアノーゼ)やけいれんを起こすことがあります。また、窒息や肺炎等の合併症が致命的となることがあります。
百日せきにかかった場合、一般に0.2%(月齢6か月以内の場合は0.6%)のお子さんが亡くなってしまうといわれています。また、肺炎になってしまうお子さんが5%程度(月齢6か月以内の場合は約12%)いるとされており、その他けいれんや脳炎を引き起こしてしまう場合もあります。

ジフテリアの概要

ジフテリアはジフテリア菌により発⽣する疾病です。その発⽣は最後に報告されたのが、1999年であり稀になりましたが、かつては年間8万人以上の患者が発⽣し、そのうち10%程度が亡くなっていた重要な病気です。
主に気道の分泌物によってうつり、喉などに感染して毒素を放出します。この毒素が⼼臓の筋⾁や神経に作⽤することで、眼球や横隔膜(呼吸に必要な筋⾁)などの麻痺、⼼不全等をきたして、重篤になる場合や亡くなってしまう場合があります。
ジフテリアにかかった場合、一般に10%程度の方が亡くなってしまうといわれています。また、特に5歳以下や40歳以上の年齢の場合は重くなりやすく、最⼤で20%の方が亡くなってしまうといわれています。

破傷風の概要

破傷風は、破傷風菌により発⽣し、かかった場合に亡くなる割合が非常に高い病気です。以前は新⽣児の発⽣もみられましたが、近年は30歳以上の成人を中⼼に患者が発⽣しています。
主に傷口に菌が⼊り込んで感染を起こし毒素を通して、さまざまな神経に作⽤します。口が開き難い、顎が疲れるといった症状に始まり、歩⾏や排尿・排便の障害などを経て、最後には全⾝の筋⾁が固くなって体を弓のように反り返らせたり、息ができなくなったりし、亡くなることもあります。

ポリオ(急性灰白髄炎)の概要

ポリオ(急性灰白髄炎)は脊髄性小児麻痺とも呼ばれ、ポリオウイルスによって発⽣する疾病です。名前のとおり子ども(特に5歳以下)がかかることが多く、麻痺などを起こすことのある病気です。
主に感染した人の便を介してうつり、⼿⾜の筋⾁や呼吸する筋⾁等に作⽤して麻痺を⽣じることがあります。永続的な後遺症を残すことがあり、特に成人では亡くなる確率も高いものとなっています。
ポリオウイルスに感染した場合、弛緩性麻痺を起こす割合は1%以下とされていますが、麻痺性の急性灰白髄炎を発症した場合には、一般に2〜5%のお子さんが亡くなってしまうといわれています。また、特に成人の場合は重くなりやすく、15〜30%の方が亡くなってしまうといわれています。

Hib(ヒブ)感染症の概要

Hib感染症は、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型という細菌によって発⽣する病気で、そのほとんどが5歳未満で発⽣し、特に乳幼児で発⽣に注意が必要です。
主に気道の分泌物により感染を起こし、症状がないまま菌を保有(保菌)して日常⽣活を送っている子どもも多くいます。この菌が何らかのきっかけで進展すると、肺炎、敗血症、髄膜炎、化膿性の関節炎等の重篤な疾患を引き起こすことがあり、これらを起こした方のうち3〜6%が亡くなってしまうといわれています。また、特に髄膜炎の場合は、⽣存した子どもの20%に難聴などの後遺症を残すといわれています。

ワクチンの効果

1つのワクチンで5つの感染症を予防する効果が期待できます。それぞれの感染症に対する効果として知られているのは、以下の通りです。

・ポリオに対して、ワクチン接種により、99%の方が十分な抗体を獲得すると報告されています。
・百日せきの罹患(りかん)リスクを、ワクチン接種により、80〜85%程度減らすことができると報告されています。
・破傷風に対して、ワクチン接種により、100%近い方が十分な抗体を獲得すると報告されています。
・ジフテリアに対して、ワクチン接種により、罹患リスクを95%程度減らすことができると報告されています。
・Hibによる髄膜炎や髄膜炎以外の侵襲性感染症を減少する効果が期待できます。Hibワクチンは我が国を含め世界の多くの国々で現在使⽤されており、その結果、Hibによる髄膜炎症例は激減しています。2008~2010年とHibワクチン定期接種化後の2014年を比較すると、インフルエンザ菌髄膜炎の5歳未満人口10万人あたり罹患率が、7.7から0.0に100%減少し、インフルエンザ菌による髄膜炎以外の侵襲性感染症の罹患率が5.1から0.5に90%減少しました。

詳しくは、厚生労働省ホームページをご覧ください。

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